Excelで「座標を使った作図」や「座標値をもとにした計算」をしたいと思ったことはありませんか?
たとえば、XYの位置をグラフで可視化したり、点と点の距離や面積を計算したりと、Excelは意外と“座標の扱い”にも強いツールです。
このページでは、Excel初心者の方でも理解できるように、座標の作成・表示・計算の方法をわかりやすく解説します。
グラフを使った図形の表示方法から、距離・面積の数式まで、目的に応じて使えるノウハウをまとめました。
Excelで座標データを作成・表示する基本操作
座標データの入力と整え方(X軸・Y軸の関係)
Excelで座標を扱う場合、まずは「X軸」と「Y軸」の数値を別の列に分けて入力します。
たとえば以下のように、X座標(横軸)とY座標(縦軸)をそれぞれ列にまとめておくと、後の作図や計算がしやすくなります。
X | Y |
---|---|
2 | 3 |
5 | 7 |
8 | 4 |
このような形式でデータを準備しておけば、散布図や数式で簡単に活用できます。
ポイント:
-
X(横方向)を左側の列、Y(縦方向)を右側の列にするのが一般的
-
データ数が多い場合は、「名前」や「地点番号」などを別列で管理しておくと便利です
散布図を使って座標をグラフ化する手順
Excelでは、「散布図」グラフを使うとXY座標を視覚的に表現できます。
作成手順:
-
X・Yの数値が入った表を選択
-
「挿入」タブ → 「散布図」→「マーカーのみ」を選択
-
必要に応じてタイトルや軸ラベルを追加
グラフを選択した際に右上に現れる+マークボタンを押すと、グラフ要素の編集メニューを表示させることができます。
すると、XY座標の点が配置されたグラフが表示されます。
この方法を使えば、座標をもとにした図形や位置関係をExcel上で簡単に可視化できます。
グラフ上に座標を表示する(データラベルの使い方)
散布図で表示された点に、それぞれのXY座標(例:(2, 3)
)をラベルとして表示することができます。
見た目で位置を確認するだけでなく、数値の確認も同時にできるようになる便利な方法です。
作成手順:
-
グラフ上の点をクリックし、全体の「系列(データのまとまり)」を選択します
-
右クリックして「データラベルの追加」を選びます
-
もう一度ラベルを右クリックして、「データラベルの書式設定」を開きます
-
「ラベルオプション」の中から「セルの値」にチェックを入れます
-
事前にXY座標の形式で表示したい文字列を別セルに作っておき、範囲指定します
表示ラベルの作り方(結合式)
たとえば、XがA列、YがB列にある場合は、C列などに以下のような数式を入力すると、
「(X, Y)」の形式で座標を表示できます:
="("&A2&","&B2&")"
これを下の行までオートフィルすれば、複数の点に対しても一括で設定できます。
このように、ラベルの表示を工夫することで、データの正確な位置を視覚的に把握しやすくなり、資料としても見やすくなります。
応用|座標軸をカスタマイズして図形っぽく見せる方法
座標グラフを“図形らしく”見せたいときは、軸の設定や目盛りを工夫すると見た目が大きく変わります。
おすすめカスタマイズ:
-
原点(0,0)を中央に設定する → 軸の最小値・最大値を手動で設定
-
縦横の比率を揃える → グラフエリアのサイズを手動調整
-
目盛りを非表示にする → 軸ラベルや目盛線をオフにする
こうした調整を加えることで、簡単な「作図ツール」としてもExcelを活用できます。
Excelで座標を使って距離や面積を計算する方法
2点間の距離を計算する方法(ピタゴラスの定理)
Excelでは、2つの座標間の距離を簡単な数式で計算できます。
たとえば、点A(X1, Y1)と点B(X2, Y2)の距離は「ピタゴラスの定理」を使って以下の式で求められます。
=SQRT((X2 - X1)^2 + (Y2 - Y1)^2)
実例:
点 | X | Y |
---|---|---|
A | 2 | 3 |
B | 5 | 7 |
このとき、セルに以下のような数式を入力すれば距離が計算されます。
補足:
-
SQRT
関数は平方根を求める関数です -
^2
は2乗を意味します(例:3^2=9)
複数の座標から多角形の面積を計算する方法(シューズ式)
複数の座標(3点以上)を使って囲まれた図形の面積を求めたい場合、
「シューズ式(Shoelace formula)」という計算方法が便利です。
計算式のイメージ:
面積 =
0.5 × | (x1×y2 + x2×y3 + x3×y1) − (y1×x2 + y2×x3 + y3×x1) |
※複数点でも同じロジックを繰り返せばOKです。
Excelでの使い方:
以下のように、X列とY列に座標を入力した場合:
点 | X | Y |
---|---|---|
A | 1 | 2 |
B | 7 | 1 |
C | 5 | 6 |
D | 2 | 7 |
-
各交差積(X×Y)を順に求める
※各点の「X×次のY」を順にかけ算し、足していきます。
同様に「Y×次のX」も計算して、最後に差を取りましょう。 -
最後の点と最初の点をつなげる(「閉じる」)
-
結果の差を取り、0.5倍して面積にする
関数例(4点)B8~B11、Y列:C8~C11に座標を入力している場合:
=0.5*ABS((B8*C9+B9*C10+B10*C11+B11*C8)-(C8*B9+C9*B10+C10*B11+C11*B8))
注意点:
-
点は時計回りまたは反時計回りに並べる必要があります
-
最後の点と最初の点を「閉じる」ことを忘れずに
- 計算の順序によってはマイナスの値になることがあるため、最終的な面積を正の値で出すために
ABS
関数(絶対値)を使っています。
補足:
本記事では、Excelで座標を扱うための実用的な計算方法をご紹介しましたが、
座標を使った面積の計算方法(座標求積法)について詳しく知りたい方は、以下のサイトも参考になります。
数学的に詳しく知りたい方はこちら(参考リンク)
-
座標求積法の図解解説(PDF)|北辰測量設計
→ 実際の測量に基づいた図と計算表が載っています(PDF資料) -
座標法公式の導き方・考え方|土木技術のごみ箱
→ 図解で台形分割による説明がわかりやすいです。
「数式の意味もきちんと理解したい」という方には、数学的な視点からの解説もおすすめです。
今回のような面積の求め方は、「座標求積法」や「シューズ式」と呼ばれるもので、図形や測量分野ではよく使われている計算方法です。
興味のある方は、上記の外部リンクをぜひご覧ください。
面積や距離を自動化したい場合(簡単なVBA活用)
繰り返し計算を自動化したい場合は、VBA(マクロ)を使って座標データから面積を計算することもできます。
簡単なサンプルVBA(シューズ式):
使い方:
-
X座標列・Y座標列をそれぞれ範囲選択(例:A2:A5, B2:B5)
-
セルに以下のように記述:
=CalcArea(A2:A5, B2:B5)
マクロが苦手な方でも、最初にこのコードをコピーすれば、あとは =CalcArea()
と入力するだけで面積が求められます。
計算結果をグラフや表に連動させて可視化する
計算した距離や面積の値をグラフや表に連動して表示することで、より視覚的にわかりやすくなります。
活用例:
-
面積が一定以上なら背景色を変える
-
計算結果をグラフタイトルやラベルに挿入する
-
定点間の距離を自動で再計算して一覧にする
Excelは計算+視覚化が得意なツールなので、座標×グラフ×関数の連携でより見やすい資料が作成できます。
まとめ:Excelでも座標はしっかり扱える!
Excelでは、ただの表計算にとどまらず、XY座標を使ったグラフ表示や、距離・面積の計算まで幅広く対応できます。
本記事では、以下の内容を紹介しました:
-
X・Yの座標データを整えて散布図で可視化する方法
-
グラフ上に座標ラベルを表示するテクニック
-
数式を使って2点間の距離や多角形の面積を計算する方法
-
必要に応じてVBAで自動化する応用例
初心者の方でも、手順に沿って操作すれば十分に実現可能な内容ばかりです。
まずは少ないデータから試してみて、徐々に応用へとステップアップしていきましょう。
グラフ作成や距離・面積の自動計算など、ちょっとした工夫でExcelがより便利なツールになることをぜひ体感してみてください!
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