Excel(エクセル)でセルに「取り消し線(打ち消し線)」が表示されていて、どうしても消えない…そんな経験はありませんか?
特に備考欄や完了タスクに使うことが多い取り消し線ですが、意図しないタイミングで表示されたり、解除したはずなのに残っていたりすることがあります。
本記事では、取り消し線の基本的な使い方から、消えない原因と対処法までを初心者向けにわかりやすく解説します。
原因を理解して正しく対処することで、ストレスのないExcel作業ができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも「取り消し線」とは?基本の使い方と設定・解除方法
取り消し線の役割とよくある使用場面
取り消し線は、セル内の文字の上に横線を引く書式です。文字を完全に消さずに「無効・完了・修正済み」などの意味を伝えるのに便利です。
たとえば以下のような場面で使われます:
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備考欄で処理済みの項目を示す
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チェックリストで完了した作業を示す
-
古い内容を残しつつ、新しい値と並べて比較する
視覚的に「この内容はもう無効ですよ」と伝えるのに使われることが多いです。
取り消し線の解除方法と注意点
取り消し線を解除する方法も設定と同じです。
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再度 [abc](取り消し線)ボタンをクリック
-
または
Ctrl + 5
を再度押すことで解除されます
ただし注意点があります:
見た目上は取り消し線が消えていないように見える場合でも、条件付き書式やセルの書式が影響している可能性があります。
次章では「消えない」「勝手に付いた」などのトラブルに対処する方法をご紹介します。
取り消し線が消えない・勝手に表示される原因と対処法
取り消し線が**「解除したはずなのに消えない」「勝手に付いてしまう」**という場合、単純な操作ミスではなく、Excelの機能や書式設定が影響している可能性があります。
以下で、よくある原因と対処法を具体的に見ていきましょう。
条件付き書式で取り消し線が設定されている場合
セルに自動で取り消し線が付く原因の一つとして、条件付き書式による設定が考えられます。たとえば「チェック欄に“完了”と入力されたら取り消し線を付ける」といったルールが、過去に設定されているケースです。
こうした条件付き書式は、セルに値を入力するだけで自動で書式が変わるため、意図せず残ってしまうこともあります。
▼確認・解除の手順:
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対象のセルを選択
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「ホーム」タブ → 「条件付き書式」 → 「ルールの管理」 をクリック
条件付き書式のメニューから「ルールの管理」を選ぶと、書式の条件を確認できます。
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条件付き書式のルール一覧が表示される
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不要なルールがあれば、「ルールの削除(D)」で解除
過去に設定された条件が残っている場合は、「ルールの削除」で無効化しましょう。
補足アドバイス
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特に共有ファイルやテンプレートからコピーしたシートには、意図しないルールが含まれていることがあります
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書式がおかしいと感じたら、一度「条件付き書式のルール管理」を確認する習慣をつけましょう
前の書式が残っている/クリアされていない場合
セルに以前取り消し線を設定した履歴があると、内容を変更しても取り消し線だけが残ることがあります。これは、セルに適用されている書式だけが保持されている状態です。
▼対処法:
「ホーム」タブ → 「編集」グループの消しゴムマーク →「書式のクリア」 を選びましょう。
必要に応じて「すべてクリア」や「数式と値のクリア」などもありますが、今回は書式だけを削除すればOKです。
取り消し線が残ってしまった場合は、「文字列の内容」ではなく「書式」そのものが原因である可能性が高いため、まずはクリア操作を試してみましょう。
ショートカットキーを誤って押してしまった場合
意外と多いのが、誤って「Ctrl + 5」などのショートカットキーを押してしまうケースです。
これにより、気づかないうちに取り消し線が付いてしまうことがあります。
▼対処法:
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再度
Ctrl + 5
を押すと取り消し線が解除されます -
取り消し線が付いた直後であれば、「元に戻す(Ctrl + Z)」も有効です
「古い値の書式設定」が原因のケース(Excelの新仕様)
最近のExcelでは、過去の入力値に対して自動的に取り消し線や灰色表示が付く「古い値の書式設定」という機能が搭載されるようになりました。
とくにデータバーやスパークライン、数式で過去値を比較するような場面で、前の値に自動で取り消し線が付与されてしまうことがあります。
▼設定を確認・解除する方法:
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Excelの「ファイル」タブをクリック
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「オプション」を開く
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左メニューから「数式」を選択
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下のほうにある「古い値の書式設定」項目を探して、チェックを外す
下図のように、「数式」設定の中にあるチェックボックスで制御できます。
「古い値の書式設定」にチェックが入っていると、取り消し線などが自動適用されることがあります。
下図のように、「古くなった値」として警告マークが表示されることがあります。
数式結果が「古くなった値」として表示されることがあります。取り消し線が自動で付くのもこの設定が原因です。
このようなときは、エラーアイコンをクリックして**「古くなったセルのフォーマットを無効にする」**を選択すれば、取り消し線やグレー表示が解除されます。
参考リンク(Microsoft公式):
古い値の書式設定について
他のブックやテンプレートからコピーしている場合
他のブックやテンプレートからコピーしている場合
他のファイルからコピーしてきたセルには、元の書式(取り消し線など)が含まれていることがあります。テンプレートや共有ファイルを流用したときに起こりがちです。
対処法:書式を持ち込まない “値だけ” を貼り付ける(=実質「書式なし貼り付け」)
方法1:右クリックメニューから「値(123)」を選ぶ(かんたん)
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元データをコピー
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貼り付け先で右クリック →「貼り付けのオプション」から “123(値)” をクリック
方法2:「形式を選択して貼り付け」で[値(V)]を選ぶ
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貼り付け先で右クリック → 「形式を選択して貼り付け」
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ダイアログで [値(V)] を選んで[OK]
値のみ貼り付けのショートカットキー
値のみ貼り付けをよく利用する場合は、ショートカットキーを使うと効率的です。
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Ctrl + Alt + V → V → Enter
(形式を選択して貼り付け → 値) -
Alt → H → V → V
(リボン経由で値貼り付け)
どちらも手早く使えるので、場面に応じて使い分けてみましょう。
補足:どうしても解除できないときは?
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「新しいシートに値だけコピーして貼り付け」することで、不要な書式ごと切り離すことができます
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一時的に見た目がおかしくなる場合は、背景色やフォント色も合わせてクリアしてみてください
【まとめ】取り消し線が消えないときは原因を一つずつ確認しよう
取り消し線は便利な機能ですが、意図せず付いてしまったり、解除できないと感じる原因はさまざまです。
この記事で紹介したように、以下のポイントを順にチェックしてみるのがおすすめです。
チェックリスト
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リボンやショートカットで設定・解除できるか確認
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条件付き書式により自動で取り消し線が付いていないか
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書式のクリアでリセットしてみる
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古い値の書式設定が影響していないか
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他のブックやテンプレートからのコピーではないか
特に最近のExcelでは、「古い値の書式設定」など自動的な機能によって書式が適用されていることもあるため、一度オプション設定を確認するのも効果的です。
「なぜ取り消し線が消えないのか?」と悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考にしながら一つずつ確認してみてくださいね。
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