Excelで図形を扱っていると、「図形を結合する」機能が見当たらず戸惑ったことはありませんか?
PowerPointでは複数の図形を自由に組み合わせて一つの形にできるのに、Excelではそのような加工ができないように感じる方も多いでしょう。
実は、ExcelにはPowerPointのような「図形の結合」機能が標準では搭載されていません。
ただし、まったく代替手段がないわけではなく、グループ化や工夫によって見た目を近づけることは可能です。
この記事では、
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Excelに図形の結合機能がない理由
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PowerPointとの違い
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Excelでの代替手段
について初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
Excelに「図形の結合」機能が見つからない理由
PowerPointでは図形の結合・合成が豊富
PowerPointでは、複数の図形を組み合わせて新しい形を作る**「図形の結合」機能**が搭載されています。
この機能を使うと、図形の加工・合成が自由に行えるため、Excelにはない柔軟なデザイン表現が可能です。
「図形の書式」タブの中にある結合メニューには、以下のオプションがあります:
操作名 | 説明 | メニュー表記(日本語UI) |
---|---|---|
接合 | 図形を合体させ、1つの形にまとめます(輪郭を統合) | 接合(U) |
型抜き/合成 | 前面の図形で背面の図形をくり抜く(複雑な形状加工) | 型抜き/合成(C) |
切り出し | 前面の図形で背面を削除し、不要部分を切り取ります | 切り出し(E) |
重なり抽出 | 重なっている部分だけを残します | 重なり抽出(I) |
単純型抜き | 前面の図形で背面を単純に型抜きします | 単純型抜き(S) |
- 接合
図形を1つにまとめる操作です。接合後は1つの図形として扱われ、分解はできません。
- 型抜き/合成
前面の図形で背面をくり抜きます。図形が重なった部分に穴があきます。
- 切り出し
図形の境界で分割します。 ↓切り出し後は、重なっていない部分2つと重なり部分1つの計3つの図形に分かれます。
- 重なり抽出
複数の図形が重なっている部分のみを残します。 - 単純型抜き
背面の図形から前面に配置した図形と重なった部分を切り取り(型抜き)します。
複雑な図形加工が必要な場合は、PowerPointで加工して画像としてExcelに貼り付ける方法もおすすめです。
PowerPointの図形結合機能は、自由な図形編集やイラスト作成にも活用されており、デザイン性の高い資料づくりに役立ちます。
Excelには「図形の結合」機能が原則としてない
一方、Excelにはこれらの図形の結合オプションが標準で用意されていません。
挿入タブ → 図形 と進んでも、「図形の書式設定」内に「図形の結合」や「型抜き」などの項目は見当たりません。
これは、Excelが表計算をメインとしたソフトであり、図形加工は補助的な機能として設計されているためです。
そのため、PowerPointやIllustratorのような本格的な図形編集機能は備わっていないのです。
グループ化と図形の結合の違いとは?
一方で「図形の結合」は、複数の図形を合体させて1つの形に変える加工機能であり、確定後に元の図形には戻せないという違いがあります。
Excelにはグループ化機能のみが搭載されており、結合のような加工はできません。
一部の機能はアドインや裏技で利用できる?
ただし、Officeのバージョンや設定によっては、「図形の結合」コマンドが裏メニュー的に使えるケースもあります。
たとえば、クイックアクセスツールバーやリボンに「図形の結合」コマンドを追加することで使用可能になる場合もあります(※ただし動作に制限あり)。
しかしこの方法は、Officeのバージョンによっては表示されなかったり、一部の結合オプションしか動作しないこともあるため、万能ではありません。
そのため、Excel内で図形を自由に合成したい場合は、他の方法で代替する工夫が必要になります。
Excelで図形を結合したいときの代替手段
グループ化で見た目をまとめる
Excelでは、複数の図形を一つにまとめる手段として**「グループ化」**機能が利用できます。
これは図形の形状自体を変えるものではありませんが、配置や移動、サイズ変更などを一括で行えるようになる便利な機能です。
【操作手順】
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Ctrlキーを押しながら結合したい図形をすべて選択
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右クリック → 「グループ化」→「グループ化」
↓グループ化後の様子です。1つの図形としてまとめられています。
この操作により、図形は一つのまとまりとして扱えるようになります。
ただし形が合体するわけではないため、見た目が完全に一体化するわけではない点に注意が必要です。
塗りつぶしや枠線の色を揃えて統一感を出す
結合機能がない代わりに、見た目の一体感を出す工夫として「塗りつぶし」や「枠線」の設定を統一するのが効果的です。
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図形の塗りつぶし色を同じにする
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枠線の色を「なし」に設定して境界を消す
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重ねる順序(前面・背面)を調整する
これらの設定により、まるで1つの図形に見えるような配置が可能になります。
【補足】
塗りつぶしは「図形の書式」タブ → 「図形の塗りつぶし」から設定できます。
枠線の非表示は「図形の枠線」→「線なし」を選択しましょう。
境界を隠す図形で一体化風に見せる
図形同士の境界線が目立つと、どうしてもバラバラに見えてしまいます。
そんなときは、同じ色・枠線なしの図形を、境界部分に上からかぶせて“つなぎ目”を隠すことで、あたかも1つの図形のように見せることができます。
【例】
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2つの図形の隙間や重なり部分に、小さな四角形や楕円を追加する
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その図形の塗りつぶしを既存図形と同じ色に、枠線は「なし」に設定
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背景色と同じ色の図形を使えば、余計な線や隙間を「消す」こともできます
この方法を使えば、Excelの限られた図形機能でも、一体感ある見た目に仕上げることが可能です。
PowerPointで作成 → 画像としてExcelに貼り付ける
どうしても複雑な図形結合が必要な場合は、PowerPointで完成させた図形を画像に変換して貼り付ける方法もおすすめです。
【手順例】
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PowerPointで図形を結合・加工
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完成した図形を右クリック →「図として保存」
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PNGやEMFなどの形式で保存
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Excelに画像として挿入(挿入 → 画像 → このデバイス)
呼び出したい画像ファイルを選択して「挿入ボタン」押すと画像の挿入ができます。
↓エクセルファイルにPowerPointで作成した画像を呼び出すことができました。
この方法なら、自由な図形結合を再現しつつ、Excel上でも使用可能です。
ただし、貼り付け後は図形としての編集はできなくなるため、修正が必要な場合は再度PowerPointで編集する必要があります。
PowerPointで作成した図形をExcelに貼り付ける方法もあります
結合や型抜きなどで加工した図形をコピーし、Excel上に直接貼り付けることで、画像としてではなく図形のまま貼り付けできる場合もあります。
特に、編集後すぐに貼り付けたいときは、保存せずそのまま使えるので便利です。
ただし、Excel上で再編集できるかどうかは内容やバージョンによって異なるため、再利用性が必要な場合はEMF形式などで保存して挿入する方法も検討すると安心です。
まとめ|Excelで図形の結合ができないときは見た目の工夫でカバー!
Excelには、PowerPointのような「図形の結合」機能は基本的に搭載されていません。
そのため、図形同士を組み合わせて新しい形を作るといった加工は制限があります。
しかし、以下のような代替手段を使えば、見た目を整えることは十分に可能です。
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グループ化でまとめて操作できるようにする
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塗りつぶしや枠線の設定で統一感を出す
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境界を隠す図形で一体化したように見せる
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PowerPointで加工 → Excelに貼り付けるという裏技も活用できる
Excelはあくまで表計算ソフトではありますが、ちょっとした工夫で資料の完成度をぐっと高めることができます。
図形の表現で困ったときは、今回紹介した方法をぜひ試してみてください。
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※外部リンク※
- 図形、図、その他のオブジェクトをグループ化またはグループ解除する |Microsoft サポート
- 図形の組み合わせや結合により、図を描く |Microsoft サポート※PowerPoint
- Excelファイルを開き直したり、別のパソコンで開いたりしてもシート上の図形の配置がズレないようにする方法はありますか? |Microsoft Learn