ExcelのR1C1形式とは?A1形式との違いや設定方法・使い方をわかりやすく解説!

ExcelのR1C1形式とは?A1形式との違いや設定方法・使い方をわかりやすく解説!

Excelでセルを参照するとき、一般的に見かけるのは「A1」や「B2」といったアルファベットと数字の組み合わせです。
しかし、Excelにはもうひとつ「R1C1(アールワン・シーワン)形式」と呼ばれる座標の表し方があります。

このR1C1形式は、関数の位置関係が明確に分かるため、関数の調整やVBAの記述時にとても便利です。
特に「このセルの2行上の値を参照したい」など、相対的な位置を意識する場面では威力を発揮します。

本記事では、R1C1形式の基本からA1形式との違い、設定方法、使い方の実例まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。


R1C1形式とは?A1形式との違いをやさしく解説

A1形式とR1C1形式の違いとは?

Excelでは、セルの位置を表す方法として主に2種類の表記形式があります。

  • A1形式:列をアルファベット、行を数字で表す形式(例:A1、B2)

  • R1C1形式:行も列も数字で表す形式で、行(Row)と列(Column)の頭文字を使います(例:R1C1=1行1列)

つまり、「A1」と表すか、「R1C1」と表すかの違いだけで、示すセルの位置は同じです。


R1C1形式の見た目と例

R1C1形式では以下のようにセルの位置を表します:

表記 意味 A1形式に変換すると
R1C1 1行1列 A1
R2C3 2行3列 C2
R[1]C[-1] 現在のセルから1行下・1列左 相対参照

RとCのあとに**[]なしの数字がある場合は絶対参照**、
[]付きの数字相対参照を意味します。

R1C1表示形式比較


どんなときにR1C1形式が便利?

R1C1形式は、関数の相対位置が把握しやすく、VBAとの相性も良いため、
作業の効率化や自動化処理の中で特に便利に使える場面があります。

このあと詳しくご紹介する「R1C1形式のメリットと活用シーン」で、具体的な例や使いどころを解説します。

R1C1形式の設定方法と実践的な使い方

R1C1形式の設定・切り替え手順

Excelは通常、A1形式で表示されていますが、設定を変更すれば簡単にR1C1形式に切り替えることができます。

設定手順(Windows版 Excelの場合):

  1. Excel画面左上の「ファイル」タブをクリック

  2. 「オプション」を選択
    オプション設定

  3. 左側メニューの「数式」を選ぶ

  4. 「数式の処理」グループ内にある「R1C1参照形式を使用する」にチェック
    R1C1参照形式を使用するにチェックを入れる

  5. 「OK」をクリックして完了

この操作をすると、列のアルファベットがすべて数字に変わり、数式もR1C1形式で表示されるようになります。


R1C1形式で数式をどう書く?

R1C1形式では、相対位置を数値で表すため、数式の仕組みがより論理的に理解しやすくなります

例1:1行上のセルと2行上のセルの合計を求める

=R[-1]C + R[-2]C

現在のセルと同じ列にある、1行上・2行上のセルの値を足し合わせています。
行方向だけが相対的になっている例です。

相対参照例

例2:絶対的なセルを参照する

=R1C1 + R1C2

これはA1形式で言う「=A1 + B1」に相当します。

絶対参照例


VBAでR1C1形式を活用する例

VBAでは、FormulaR1C1 プロパティを使うことで、数式をR1C1形式でセルに入力することができます。
この方法は、セルの位置関係(相対位置)を計算しやすく、マクロによる自動化にとても便利です。

例:選択セルに「1行上と2行上の合計」を入力するマクロ

ActiveCell.FormulaR1C1 = "=R[-1]C + R[-2]C"

vbaのFormulaR1C1で関数指定(相対参照)の例

例:A1セルに絶対位置の数式を設定

Range("A1").FormulaR1C1 = "=R2C3 * 2"

vbaのFormulaR1C1で関数指定(絶対参照)の例

これは「C2セルの値を2倍する」数式をA1セルに入力する処理です。

表示形式と関数の入力方法の違いについて

Excelの表示形式(A1形式/R1C1形式)によって、数式バーに直接関数を入力する際の指定方法が変わります。

  • 通常のA1表示モードのとき:
     → =C2*2 のように A1形式で入力しないと正しく認識されません。

  • R1C1表示モードのとき:
     → =R2C3*2 のように R1C1形式で入力する必要があります。


しかし、VBAで FormulaR1C1 プロパティを使う場合は、
常にR1C1形式で指定されるため、Excelの表示形式に関係なくエラーになることはありません。

例えExcelがA1形式で表示されていても、正しく数式が入力され、数式バー上では自動的にA1形式に変換された状態で表示されます。

↓通常表示モードで FormulaR1C1 を使用した例:
  数式バーには =$C$2*2 のように、A1形式で表示されます

通常表示モードであってもFormulaR1C1で関数を指定することは可能です。


このように、手入力では表示形式に注意が必要ですが、
VBAではR1C1形式で統一しておけば、表示モードを気にせずに正しく処理が行えます。


慣れないと見慣れない表記で混乱しやすい

R1C1形式は、セルの位置関係を数値で論理的に表せる便利な形式ですが、
見慣れない記法であるため、最初は戸惑いやすい面もあります。


▸ 入力時に感じるわかりにくさ

たとえば、通常のA1形式(例:=C2+D2)に比べて、R1C1形式(例:=R2C3+R2C4)は文字数が多く、
関数を手入力する際に「ぱっと見でわかりづらい」「ミスタイプしやすい」と感じる方もいるでしょう。

また、行・列の数値が増えると見た目も複雑に感じやすくなります。


▸ 数式バーの表示が変わることによる混乱

ExcelをR1C1形式に切り替えると、数式バーに表示されるすべての関数参照もR1C1形式に変わります。
たとえば、A1形式で「=A1+B1」と表示されていた数式は、R1C1形式では「=R1C1+R1C2」のように表示されます。

そのため、見慣れた数式との違いに最初は戸惑うこともあるかもしれません。

A1形式とR1C1形式の比較例:
画面上側がR1C1形式、画面下側がA1形式です。

R1C1とA1形式での関数表示比較

このように、R1C1形式は1セルあたりの参照表記が長くなるため、慣れるまではパッと見で理解しづらい/入力の手間が増えるという印象を持たれることもあります。

なお、R1C1形式を使う場合でも、関数を入力する際はA1形式に戻してから作業し、最後にR1C1形式に切り替えるという使い方もおすすめです。
自分にとって見やすい形式で作業することで、ミスを減らせます。


他人とファイルを共有するときの注意点

R1C1形式で作成したファイルを共有する場合は、相手のExcelの設定によって見え方が変わることに注意が必要です。

Excelの表示形式(A1形式/R1C1形式)は、ファイルごとの設定ではなく、使用しているパソコンやアカウント側の設定に依存しています。
そのため、たとえば自分がR1C1形式に切り替えて作業していた場合でも、相手のExcelがA1形式ならば、数式はA1形式で表示されます。

逆に、小規模な事業所や現場などで1台のパソコンを複数人で共有している場合には注意が必要です。
このような環境では、前に使った人の設定がそのまま残っていることがあるため、
意図せずR1C1形式で表示され、「見慣れない表示で混乱した」「誤って編集してしまった」といったトラブルにつながる可能性もあります。


対応のポイント:

  • ファイルを他の人に共有する前には、A1形式に戻して保存しておくのがおすすめです。

  • 特に共有PCを使う場合や、Excelに不慣れな方と作業を分担する際は、
     「R1C1形式で作成されています」と一言添えるだけでも、相手の理解がスムーズになります。


マクロを共有する場合の注意点

VBAでR1C1形式のコード(.FormulaR1C1など)を記述している場合、
受け取り側のExcel設定に関係なく、そのままのR1C1形式で動作・表示されます。

そのため、マクロの管理を複数人で行う場合や、別の担当者に引き継ぐ際には以下の配慮がおすすめです:

  • R1C1形式で記述している旨を明確に伝える

  • コードの表記方法(A1形式など)に修正してから共有する

細かい点ですが、共有ミスや誤解を防ぐためにも、こうした工夫が有効です。

↓A1形式で表示したとしてもマクロコードがA1形式に自動変換されるわけではありません。
複数人でマクロの編集を行う可能性がある場合は配慮が必要でしょう。

通常表示モードであってもFormulaR1C1で関数を指定することは可能です。


R1C1形式を使うメリットと活用シーン

列番号の把握や計算がしやすい

R1C1形式では、列も行もすべて数字で表されるため、
「何列先」「何行下」といった位置関係を直感的に把握・計算しやすいのが大きな特長です。

一方、A1形式では列がアルファベット(A~Z → AA、AB…)で表されるため、
列が増えるにつれて「次の列は何か?」「10列右はどこか?」といった感覚がつかみにくくなります。
これは、アルファベットが26進数のように扱われるため、数字での距離感をつかみにくいのが原因です。

R1C1形式であれば「C1=1列目」「C10=10列目」といったように、
列番号をそのまま数値で扱えるため、列方向の参照や加工が格段にわかりやすくなります。

※とくに、列数が多くて横に広がった表を扱う場合は、
「列A〜列Z」といった表記よりも「C1〜C20」と数字で見られるR1C1形式の方が視認性・操作性の面で便利です。

Accessなどとの連携(仕入れデータの例)


VBA(マクロ)との相性が良い

マクロで繰り返し処理や動的な数式入力を行う場合、
R1C1形式はセルの相対位置を柔軟に指定できるため、VBAとの相性が非常に良いです。

相対参照の例:

次のようなVBAコードで、現在セルの1つ左の値を2倍する数式を自動入力できます

ActiveCell.FormulaR1C1 = "=R[0]C[-1]*2"

「R[0]C[-1]」という書き方で、「同じ行の1列左」を明確に指定できます。
これは、A1形式よりも位置のイメージがしやすく、コードの再利用性も高くなります。

繰り返し処理の例:

たとえば、A列とB列の値を足してC列に表示する処理を、複数行にわたって繰り返す場合:

' A1形式での記述(Formula)
For i = 2 To 10
Range("C" & i).Formula = "=A" & i & "+B" & i
Next i
' R1C1形式での記述(FormulaR1C1)
For i = 2 To 10
Range("C" & i).FormulaR1C1 = "=RC[-2]+RC[-1]"
Next i

R1C1形式では、数式を文字列として結合する必要がなく、構文を固定のまま使えるため、
処理がシンプルでエラーも起きにくく、メンテナンス性にも優れています。

❖ Formula と FormulaR1C1 の使い分けはどうする?

VBAでは、数式の入力に「Formula(A1形式)」と「FormulaR1C1(R1C1形式)」のどちらも使えます。
状況に応じて、以下のように使い分けると便利です。

  • Formula(A1形式)がおすすめな場合:
     一時的に数式を設定するだけ、または人に説明しやすくしたい場面

  • FormulaR1C1がおすすめな場合:
     ループ処理やセルの相対位置に基づいて数式を繰り返し入力したい場面


VBAに慣れていないうちはA1形式の方が安心かもしれませんが、
R1C1形式は処理の自動化や複雑な繰り返し作業をスマートにこなすうえで非常に役立ちます。
少しずつ取り入れてみると、Excel作業の効率がぐんとアップするでしょう。

まとめ

R1C1形式は、Excelの参照形式のひとつで、特に関数の位置関係を意識する場面やVBAの自動処理において非常に役立ちます。

最初は難しそうに感じるかもしれませんが、
相対位置を論理的に捉えられるようになると、Excel作業の幅が一段と広がるはずです。

ぜひ一度、オプション設定で切り替えて試してみてください。

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参考リンク(公式サポートページ)

R1C1形式や座標に関連するExcelの公式サポート情報も参考になります。気になる方はこちらもぜひチェックしてみてください。