最近、Excelのリボンに「自動化」というタブが表示されるようになり、「今後はマクロ(VBA)が使えなくなるの?」と不安に感じた方もいるのではないでしょうか。
特に、せっかく覚えたVBAが将来使えなくなるのかと気になって、調べてみたという方も多いかもしれません。
ネット上では「VBAのサポートが終了する」という噂も見かけますが、実際のところはどうなのでしょうか?
また、新しく登場した「Office スクリプト(自動化)」とは何が違うのでしょうか?
本記事では、VBAの現状と今後のサポート状況、そして「自動化」タブの正体や、VBAとの違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
今後のExcel活用に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
VBAのサポートは本当に終了するのか?
現時点で発表されている情報
結論から言うと、VBA(Visual Basic for Applications)そのもののサポート終了は現時点では発表されていません。
Microsoftの公式情報でも、Excelを含むデスクトップ版のOffice製品において、VBAは引き続き使用可能です。
ただし、2023年には一部の「IE(Internet Explorer)との連携に使われていたVBA機能」が廃止されたため、その影響で「VBA終了」といった噂が広まったようです。
VBAの中でもWeb操作用の一部機能だけが対象だったため、通常の業務マクロには影響がないケースがほとんどです。
なぜ「VBA終了」の噂が広がったのか
「VBAが使えなくなる」といった誤解が広まった理由の一つは、新たに登場した「自動化タブ(Office Scripts)」の存在です。
この自動化機能が、マクロと似たような操作ができるため、「今後はマクロが自動化に置き換わるのでは?」と混同されがちです。
また、VBAは1990年代からある古い技術ということもあり、「いずれは廃止されるのでは?」といった将来的な懸念も含めて、不安が大きくなっているようです。
VBAマクロは今後も使えるのか?
少なくともExcelのデスクトップ版(Windows)においては、VBAは今後も使用可能です。
今まで作成してきたマクロやVBAツールも、環境が大きく変わらない限り、これまで通り動作することが期待されます。
ただし、注意点としては以下の通りです:
-
Web版Excel(ブラウザ)ではVBAは使えません
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モバイル版(スマホ・タブレット)でもVBAは非対応です
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Mac版では一部VBA機能に制限あり
こうした背景から、MicrosoftはWeb環境での自動化を進めるために「Office Scripts」を推進していますが、VBAの置き換えが目的ではなく、共存が前提とされています。
自動化タブの正体とVBAとの違い
自動化タブ=Office Scriptsとは?
「自動化」という名前のタブは、主にWeb版Excel(Microsoft 365)で表示される新しい機能で、「Office Scripts(オフィス スクリプト)」という仕組みを使っています。
Office Scriptsは、Excelの操作を記録してスクリプトとして保存し、自動で実行できる仕組みで、VBAマクロと似たような使い方ができます。
ただし、コードの中身はVBAではなく、TypeScript(JavaScriptに似た言語)ベースで書かれており、書き方が大きく異なります。
そのため、見慣れたVBAとはまったく違う構文で戸惑う方も多いでしょう。
↓Excel365やWeb版では「自動化」タブが表示されます。下図のように、操作を記録して自動化する仕組み(Office スクリプト)にアクセスできます。
スクリプトは自動的にOneDriveに保存されるため、クラウド環境での共有やPower Automateとの連携にも適しています。
どちらもリボン上にあり、マクロやスクリプトの記録・編集が行えます

自動化は、マクロのように**操作をつなぎ合わせてスクリプトに変換する感覚**で使えるのが特徴です。
VBAとOffice Scriptsの主な違い
比較項目 | VBA | Office Scripts |
---|---|---|
使用環境 | Excel デスクトップ版 | Excel Web版(Microsoft 365) |
言語 | Visual Basic | TypeScript(JavaScript系) |
操作の記録 | マクロの記録が可能 | スクリプトの記録が可能 |
ファイル制御 | フォルダ・ファイル操作が得意 | ローカルファイル操作は不可 |
拡張性 | 高い(ActiveXや外部連携など) | Webサービス連携に強み(Power Automateなど) |
両者とも自動化ツールではありますが、VBAはローカル環境での柔軟な操作に強く、Office Scriptsはクラウド環境での自動処理に向いているという違いがあります。
VBAとOffice Scriptsコードの比較
Set ws = ThisWorkbook.Sheets("Sheet1")
ws.Range("A1").Value = "こんにちは"
let sheet = workbook.getWorksheet("Sheet1")
sheet.getRange("A1").setValue("こんにちは")
今後のおすすめ活用法
今後もExcelでマクロを使う場面は多く、これまで作成してきたVBAマクロが突然使えなくなるようなことは基本的にありません。
そのため、今ある資産を活かしながら、安心して業務に使い続けて大丈夫です。
ただし、今後クラウドでの共同編集や自動処理のニーズが高まると、Office Scriptsの出番も増えてくるかもしれません。
そのため以下のような考え方がおすすめです:
-
デスクトップでの作業 → VBAを引き続き活用
-
Webやクラウド連携が必要 → Office Scriptsを徐々に学ぶ
「VBAが使えなくなる」ではなく、「選択肢が広がった」と前向きに捉えると、今後のスキルアップにもつながります。
まとめ|VBAはすぐには廃止されない、自動化との違いを知って前向きに
「VBAのサポートが終了する」という話題を耳にして不安に感じた方も多いかもしれませんが、現時点でVBA自体の終了は発表されていません。
普段お使いのExcel(デスクトップ版)では、これまで通りマクロも問題なく利用できます。
一方で、「自動化タブ」による新しい機能「Office Scripts」が登場したことで、今後のExcelの活用方法が広がりつつあるのも事実です。
この新しい仕組みは、クラウドでの作業や他のMicrosoftサービスとの連携に強く、これからの働き方に合った選択肢として注目されています。
今のVBAスキルは決して無駄にはなりません。
むしろ、自動化や効率化の知識があるからこそ、新しいツールにもスムーズに対応できるはずです。
「VBAを活かしつつ、必要に応じてOffice Scriptsを知っていく」
そんな柔軟な姿勢が、今後のExcel活用にはおすすめです。
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