Excelでマクロを使おうとしたときに、「このファイルのマクロはセキュリティリスクがあるためブロックされました」といった警告が表示され、うまく動かせないことがあります。
マクロは業務効率化にとても便利な機能ですが、外部から取得したファイルや社外とのやり取りがある場合には、セキュリティ上の制限がかかることがあります。
本記事では、マクロがブロックされてしまう原因や、セキュリティ警告を解除するための安全な方法について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
マクロを有効にしたいけれど、不安がある方や設定方法がわからないという方は、ぜひ参考にしてください。
マクロがブロックされる原因とセキュリティ警告の意味
よくある警告メッセージのパターン
マクロ付きのExcelファイルを開いた際、以下のような警告が表示されることがあります。
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「このファイルのマクロはセキュリティリスクがあるためブロックされました」
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「セキュリティの警告:マクロが無効にされました」
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「このファイルの発行元は確認できません」
これらのメッセージは、Excelのセキュリティ機能がマクロの実行を制限している状態です。
内容は異なって見えますが、いずれも「このファイルに含まれるマクロをすぐには実行させない」という意味になります。
マクロがブロックされる仕組みとセキュリティ設定の基本
Excelには、悪意のあるマクロからPCを守るための「マクロセキュリティ」が用意されています。
この設定には主に以下の3つの仕組みがあります。
セキュリティ項目 | 内容 |
---|---|
マクロのセキュリティレベル | マクロを有効にするかどうかの設定(既定では無効) |
保護ビュー | インターネットやメール経由のファイルを制限付きで開く仕組み |
信頼された場所 | 登録されたフォルダ内のファイルだけ自動でマクロ実行可 |
セキュリティが強化されたことにより、信頼できない場所から取得したファイルはマクロが自動実行されなくなりました。そのため、自分で作成したマクロであっても、一度メール送信しただけでブロック対象になることがあります。
マクロを使うときに考えるべきリスクとは?
マクロには、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラムコードが含まれています。便利な自動処理ができる一方で、悪意のあるコードが組み込まれていると、PCの情報が抜き取られたり、ファイルが破壊されたりするリスクもあります。
このような理由から、Excelでは以下のようなファイルを「危険性あり」と判断する傾向があります:
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インターネットからダウンロードしたファイル
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メールで受け取った添付ファイル
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他者が作成したテンプレートやマクロブック
安全なマクロかどうかを見分けるのは難しいため、Excelは原則としてマクロをブロックし、ユーザーの操作によってのみ有効にできるよう設計されています。
マクロのセキュリティ警告を安全に解除する方法
ファイルを開くときにマクロを有効にする(通知バーの操作)
マクロ付きファイルを開いたとき、画面上部に「セキュリティの警告」バーが表示されることがあります。
この通知バーにある [コンテンツの有効化]ボタンをクリックすると、そのファイル内のマクロを一時的に有効にすることができます。

この方法は、そのファイルを開いている間だけマクロを有効にするため、最も手軽かつ安全な使い方です。
ただし、ファイルを閉じて再度開くと、再び警告が表示されます。
信頼された場所に保存して毎回の警告を回避する
毎回「コンテンツの有効化」ボタンを押すのが面倒に感じる場合は、マクロファイルを**「信頼された場所(信頼できるフォルダー)」**に保存することで、警告を非表示にすることができます。
この設定をしておけば、指定したフォルダー内のファイルは自動的にマクロが有効化されるため、社内でよく使うテンプレートやツールに便利です。
【設定手順(バージョンによって表記が異なります)】
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Excelで[ファイル]タブを開き、[オプション]をクリック
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左メニューから以下いずれかを選択
- 「トラストセンター」(Microsoft 365などでの表記)
- または「セキュリティ センター」 -
[トラストセンターの詳細設定](または[セキュリティ センターの設定])をクリック
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[信頼できる場所]を選び、[新しい場所の追加]をクリック
-
マクロファイルを保存するフォルダーを指定し、完了
注意:
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会社や組織で使用する場合は、ITポリシーによって信頼された場所の設定が制限されていることもあります。
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また、不特定多数が使う共有フォルダーを登録すると、思わぬマクロの自動実行が起こる可能性があるため注意が必要です。
セキュリティ設定を変更する方法(自己責任で)
マクロが毎回ブロックされるのを防ぎたい場合は、Excel全体のマクロセキュリティレベルを変更する方法もあります。
ただし、誤って不正なマクロを実行してしまうリスクもあるため、設定変更は慎重に行いましょう。
【設定手順(バージョンにより表記が異なる場合があります)】
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Excelで[ファイル]→[オプション]をクリック
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左メニューから[トラスト センター](または[セキュリティ センター])を選択
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画面右下の[トラスト センターの設定](または[セキュリティ センターの設定])をクリック
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左側の[マクロの設定]を選択
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以下のいずれかを選びます:
設定項目 | 内容 |
---|---|
警告せずに VBA マクロを無効にする | 最も安全。マクロは自動的に無効。通知も出ない |
警告して、VBA マクロを無効にする(推奨) | 通知バーが表示され、手動で有効化できる設定 |
電子署名されたマクロを除き、VBA マクロを無効にする | 信頼された署名付きマクロのみ有効に |
VBA マクロを有効にする(非推奨) | すべてのマクロが自動で有効になる(高リスク) |
補足:
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通常は「警告して、VBA マクロを無効にする」の設定が推奨されます。
→ ファイルごとに「コンテンツの有効化」ボタンで判断でき、安全性と利便性のバランスが取れます。 -
「VBA マクロを有効にする」は便利なようでいて、ウイルス感染などのリスクが高まるため非推奨です。
社内や共有ファイルでの注意点と安全な取り扱い方
たとえ自分が作成したマクロでも、以下のような操作を行うと、他人の環境ではブロックされることがあります:
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メール添付で送信
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クラウド(OneDrive等)経由で共有
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他のPCにコピー
そのため、共有用にする場合は信頼された場所の設定と合わせて説明を添えるのが親切です。
また、社内ポリシーによりマクロの使用が制限されているケースもあるため、IT部門などに確認しておくとトラブルを防げます。
まとめ|マクロのセキュリティ警告は正しく理解して安全に解除しよう
Excelでマクロを利用しようとしたときに表示されるセキュリティ警告は、ウイルスなどの被害を防ぐための大切な仕組みです。
ただし、自分で作成したマクロや信頼できるファイルまでブロックされてしまうと、業務効率が落ちてしまいますよね。
本記事で紹介したように、
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通知バーから一時的に有効化する方法
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信頼された場所に保存して毎回の警告を回避する方法
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セキュリティ設定を変更する方法
といった対処法を知っておくことで、安全かつスムーズにマクロを使えるようになります。
特に、ファイルを他の人と共有する場合や社内での運用を考える場合は、「信頼された場所」の設定やマクロ有効化手順の説明を合わせて行うと安心です。
マクロの便利さとリスクを正しく理解し、安全な運用を心がけながら上手に活用していきましょう。
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