Excelでデータ入力を行う際、「商品名を選んだら自動で価格を表示したい」「手入力ミスを防ぎたい」と感じたことはありませんか?
そんなときに便利なのが、ドロップダウンリスト(プルダウン)とVLOOKUP関数の組み合わせです。
あらかじめ商品一覧などのマスタを作っておけば、選択肢から選ぶだけで関連情報を自動表示できるため、入力の効率化・ミスの防止に大きく役立ちます。
本記事では、初心者の方でもわかりやすいように、ドロップダウンの作成方法からVLOOKUPとの連携手順、よくあるトラブルへの対処法まで、実例を交えて丁寧に解説します。
業務でよくある「商品コードから商品名を自動表示」などのパターンにも対応していますので、ぜひ参考にしてみてください。
VLOOKUP×ドロップダウンリストで入力を効率化しよう
どんな場面で役立つの?
ドロップダウンリストとVLOOKUP関数の組み合わせは、主に**「選択した値に応じて関連データを自動入力したい」**という場面で活躍します。
たとえば以下のようなシーンで便利です:
-
商品名を選ぶと、自動で単価や型番を表示する
-
社員番号を選ぶと、名前や所属部署が入力される
-
郵便番号を選ぶと、自動で住所が補完される
このように、入力内容を制限しつつ関連情報をスムーズに取得できるため、入力ミスの防止や作業の時短に大きな効果があります。
実際の完成イメージ(例:商品名から価格を自動表示)
ここでは一例として、以下のような構成を想定します:
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左側:商品マスタ
-
商品名・商品コード・単価などを一覧にしたもの
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右側:注文フォーム
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商品名をドロップダウンで選択すると、隣に単価が自動で表示される
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このような入力フォームを作成することで、
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手入力の手間を減らせる
-
選択ミス・表記ゆれを防げる
-
入力内容の正確性を保てる
といった実務的なメリットを得られます。
設定手順|ドロップダウンとVLOOKUPの連携方法
ステップ1:商品マスタを用意する
まずは、VLOOKUP関数で参照するための**商品マスタ(一覧表)**を用意します。
以下のように「商品名」「商品コード」「単価」など、必要な情報を1行にまとめて管理すると扱いやすくなります。
A列:商品コード | B列:商品名 | C列:単価 |
---|---|---|
A001 | リンゴ | 120 |
A002 | バナナ | 100 |
A003 | みかん | 110 |
※この表は別シート(例:「商品マスタ」シート)にまとめておくと管理が楽です。
ステップ2:ドロップダウンリストを作成する
次に、フォーム側の入力欄に商品名のドロップダウンリストを設定します。
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ドロップダウンを設定したいセルを選択(例:E2セル)
-
Excelのメニューから「データ」→「データの入力規則」を選択
-
「リスト」を選び、**商品コードの範囲(例:A2:A100)**を指定
-
[OK] を押すと、セル内に選択肢が表示されるようになります
これで、入力ミスや表記ゆれの心配がなくなります。
ドロップダウン(プルダウン)については以下の記事で詳しく紹介しています。
→Excelプルダウンのコピー・複数選択・削除・色分けの方法まとめ|連動や空白対応も解説!
→Excelドロップダウンリストの基本とトラブル対処法まとめ|表示されない・複数列表示・行数制限など
ステップ3:選択肢に応じてVLOOKUPで値を取得する
ドロップダウンで選ばれた商品名に対し、VLOOKUP関数を使って単価などの情報を取得します。
この式では:
-
E2
:選ばれた商品コード -
A2:C100
:商品マスタの範囲 -
3
:単価(3列目)を取得 -
FALSE
:完全一致で検索
ドロップダウンで商品コードを選ぶたびに、単価が自動的に表示されるようになります。
※VLOOKUP関数については以下の記事をごさんこうください。
→初めてのVLOOKUP関数|よくあるエラー・複数条件・部分一致の対処法をやさしく解説!
よくあるミスと対処法(#N/Aエラー、見えないスペースなど)
■ #N/A エラーが出る
-
商品名がマスタに存在しない場合に発生します
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見た目は同じでも、全角・半角スペースや表記ゆれがあると一致しないことがあります
-
TRIM
やSUBSTITUTE
関数でスペースを除去すると改善されることがあります
↓表記ゆれの例:
半角で入力するべき箇所に全角英数字で入力しているため、エラーが表示されています。
■ 検索範囲がズレている
-
VLOOKUPの範囲と列番号の指定が合っていないと、
#REF!
などのエラーになります -
範囲の先頭列に検索値が含まれているか確認しましょう
↓列番号不備の例:
検索範囲が2列までしかないのに3列目を指定してるため#REFエラーが表示されています
活用のコツと応用例
間違い入力を防ぐしくみとして活用する
ドロップダウンリストを使うことで、手入力による誤字・脱字、表記ゆれといった人為的ミスを防ぐことができます。
さらにVLOOKUPを組み合わせれば、表記が完全一致しているときだけ情報を取得する仕組みになるため、「正しい商品名を選ばないと情報が表示されない=間違いに気づきやすい」という効果もあります。
その結果、集計ミスや確認作業の手間を減らし、正確で効率的な入力作業を実現できます。
複数項目を自動表示する(価格・品番など)
1つの選択に対して、複数の情報を一括で表示したい場面もよくあります。
たとえば「商品コード」を選んだら、
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商品名
-
単価
-
在庫状況
といった情報をそれぞれVLOOKUPで表示させることも可能です。
=VLOOKUP(E2, A2:D100, 2, FALSE) ' 商品名
=VLOOKUP(E2, A2:D100, 3, FALSE) ' 単価
=VLOOKUP(E2, A2:D100, 4, FALSE) ' 在庫状況
列番号を変えるだけで、関連情報をそれぞれ別セルに出力できます。
表示順や書式を調整すれば、見た目も整ったフォームや伝票作成に応用できます。
見た目を整える(セルのロック・書式設定など)
せっかく自動化しても、誤って数式を消してしまったり、セルを上書きしてしまったりしては台無しです。
以下のような見た目・保護の工夫もあわせて行いましょう:
-
数式セルはロックし、シート保護をかける
シートの保護は[校閲]→[保護]メニューから設定できます
-
単価や金額にはカンマ区切りや円マークの表示形式を設定する
-
背景色や枠線で入力エリアと表示エリアを分かりやすくする
↓入力する箇所だけ色を付けるなど編集する箇所とそうでない場所をわかりやすくしています。
↓シート保護をかけているため、許可されたセル以外を編集しようとするとポップアップメニューが表示されます。
このように見た目や保護設定を工夫することで、誰が使ってもミスの少ない入力シートが作成できます。
本記事ではドロップダウンリストとVLOOKUP関数の組み合わせについて紹介しました。このようなテクニックを使うことで入力ミスを防ぎながら、正確で効率的なフォームを作成することができるようにます。
シンプルな仕組みながら、実務での効果は非常に大きいので、ぜひ日々の業務にも取り入れてみてくださいね。
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