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大きな表やガントチャート、社内掲示用の注意喚起ポスターなど、Excelの内容を「大きく印刷して貼り出したい」場面は意外と多いですよね。本記事では、デザインソフトを使わずにExcelだけで“ポスター印刷(分割印刷)”を実現する方法を、初心者の方にもわかりやすく手順で解説します。
Windowsのプリンタ機能で完結する方法と、PDF経由(Adobe Acrobat Readerの[ポスター]印刷)で確実に分割する方法の2パターンを紹介。事前に整えておきたいレイアウトや、印刷ずれを防ぐコツもまとめました。これを読めば、「A4用紙を何枚か並べてA2サイズ相当で掲示」といった使い方がすぐに再現できます。
ポスター印刷の基本と設定手順
ポスター印刷とは?向いているケース
**ポスター印刷(分割印刷)**は、1枚の大きな紙に出す代わりに、複数枚の用紙に分割して印刷→貼り合わせる方法です。
向いているケースの例:
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A4しか使えないが大きく掲示したい(A4×4枚でA2相当など)
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ガントチャートや一覧表など、1ページに収めると文字が読みにくい
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大判プリンタがない、社内の標準プリンタだけで対応したい
準備①:レイアウトを整える(余白・印刷範囲・改ページプレビュー)
印刷前に、Excel側で次の点を整えておくと仕上がりと作業効率が大幅にアップします。
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余白の調整
[ページ レイアウト]タブ → [余白]で「標準」や「やや狭い」に設定します。
↓より細かく調整したい場合は [ユーザー設定の余白] を選びます。
↓[ユーザー設定の余白] 設定画面です。上下左右の値を調整します。
用紙中央に配置したいときは [ページ中央]の[水平][垂直]にチェックを入れます。
※フチなし印刷はプリンタ設定で行います(詳細は第2章)。 -
印刷範囲の設定
必要な範囲をドラッグ選択 → [ページ レイアウト] → [印刷範囲の設定]。
余計な空白や周辺セルを含めないことで、後工程の分割が安定します。
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改ページプレビューの確認
[表示]→ [改ページプレビュー] に切り替え、**青い点線(自動改ページ)**の位置を確認します。
↓点線を右端・下端へドラッグして、画面に「1ページ」のみ表示になるよう調整します。
↓うまく1ページにならない場合は、[ページ レイアウト]→ [拡大縮小印刷] で
[横:1ページ/縦:自動](→ まだ分割されるなら [縦:1ページ] に)を選びます。
準備②:拡大縮小とページ分割の違いを理解する
-
拡大縮小(倍率や“次のページ数に合わせて印刷”)
1枚に収める・数ページに収めるために縮小/拡大する機能。
→ 文字が小さくなりすぎると読みにくくなります。 -
ページ分割(ポスター印刷)
1枚の大きな紙に相当する内容を複数枚に分割印刷し、貼り合わせて実寸に近い大きさで掲示できます。
→本記事はこの「分割」を中心に解説します。
手順A(Windows):プリンタの「ポスター/分割」機能を使う
お使いのプリンタによっては、ドライバに“ポスター印刷(分割)”機能が用意されています。代表的な流れは次のとおりです。
-
Excelで[ファイル]→[印刷]を開く
-
使用するプリンタを選択→[プリンターのプロパティ](または[詳細設定])を開く
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レイアウト/詳細設定の中にある
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「ポスター」「分割」「拡大分割」「ページ割り付け」などの項目をオン
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「ポスター」「分割」「拡大分割」「ページ割り付け」 などをオン
- 分割数(例:2×2、3×3)
- 重なり(のりしろ)
- 切り取り線/トリムマーク
を設定
-
-
プレビューで分割イメージを確認→[印刷]
名称・位置は機種で異なるため、見つからない場合は次の手順B(PDF経由)**が確実です。
手順B(共通):PDFに保存して、Adobe Readerの[ポスター]で分割印刷
ドライバ機能に依存しない、最も再現性の高い方法です。WindowsでもMacでもOK。
-
ExcelでPDFに保存
[ファイル]→[エクスポート]を選択します。
[PDF/XPSの作成](または[名前を付けて保存]でPDFを選択)
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PDFをAdobe Acrobat Reader(無料版)でPDFを開く
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[印刷]→[ページサイズと処理]で[ポスター] を選択
-
タイル倍率(拡大率)を指定(例:200%=A4×4枚でA2相当)
必要に応じて 重なり(のりしろ 5〜10mm)/タイルマーク をオン
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プレビューで分割枚数と配置を確認→[印刷]
補足:タイルマークで分割数が増えることがあります
Adobe Readerの[ポスター]で[タイルマーク]をONにすると、各タイルの外側に切り取り目印(約1~2cm)が追加されます。
フチなし非対応のプリンターや、「Microsoft Print to PDF」など印刷可能領域が広くないドライバでは、この目印スペース+[重なり](のりしろ)のぶんだけ用紙1枚あたりの実効領域が狭くなり、**2×2(4枚)→ 4×2(8枚)**に増える場合があります。
対処例(A4×4枚=A2相当を維持したい場合)
-
まず [タイル倍率:200%/重なり:0/タイルマーク:OFF]で4枚になることを確認
-
次に **[重なり:5mm]→[タイルマーク:ON]**の順で追加
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もし8枚に増えたら:
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倍率を微調整(例:200% → 195%前後)
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重なりを縮小(例:10mm → 5mm)
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プリンター側のフチなしをON(対応機種のみ)
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どうしても収まらない場合はタイルマークOFFで印刷し、外枠線を印刷して定規でカット
-
①PDFをA4で作り直す、または ②A3なら141%**に設定します。
Macユーザー向け補足(PDF経由が確実)
Mac標準のプレビューアプリにはポスター印刷(分割)を直接行う機能がありません。プリンタのドライバが対応していれば使えますが、対応がない場合はPDF→Adobe Readerの[ポスター]印刷を選ぶのが確実です。
※社内標準機がAirPrintのみで詳細設定に入れない場合も、PDF経由での分割なら安定して実現できます。
ポスター印刷を失敗しないためのコツ/トラブル対処
ページ境界の罫線が切れる・ズレる
ポスター印刷は複数枚を貼り合わせるため、ページの継ぎ目で情報が切れると読みにくくなります。
対策のポイントは次のとおりです。
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改ページプレビューで境界を避ける
[表示]→[改ページプレビュー]で青線をドラッグし、罫線や文字がまたがらない位置に調整します。
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貼り合わせ前提の余白を確保
ドライバの**「のりしろ(重なり)」**を5〜10mmに設定すると、貼り合わせが楽になります。
余白が取れない場合は、Excel側で外枠の余白をほんの少し広げるのも有効です。 -
ガイド線・外枠を印刷する
外枠の細い実線(または薄い点線)を追加すると、裁断位置の目安になります。濃すぎる線は目立つので注意。
↓罫線を設定したい箇所を選択し、[罫線メニュー]→[その他の罫線]を選択すると
罫線の詳細設定ができます。
塗りつぶしや背景色が薄い・出ない
「画面では色が付いているのに、印刷すると薄い/出ない」問題は設定の組み合わせで起こりがちです。
-
Excelのページ設定(シート)を確認
[ページ設定]→[シート]タブの-
**「白黒印刷」**にチェックが入っていないか
-
**「簡易印刷」**がオンになっていないか
を確認します(オンだと塗りつぶしと罫線が省略・簡略化されます)。
↓[印刷]メニュー下側にある[ページ設定]を選択します。
↓シートタブの「白黒印刷」や「簡易印刷」にチェックが入っていないかを確認します。
-
-
プリンタドライバ側の省インク設定
「トナー節約/インク節約」「グレースケール」が有効だと、色が飛びやすくなります。必要に応じて標準/高画質へ。
↓プリンターでグレースケールが設定されている場合
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“背景(ページの背景画像)”は印刷されない
[ページレイアウト]→[背景]で入れた背景は画面専用です。印刷したい場合はセルの塗りつぶしや画像の挿入を使います。
↓[背景]が設定されている場合、[背景の削除]メニューが表示されます。
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濃淡の選び方
淡いパステルや薄い灰色は、プリンタによっては消えます。中間トーン以上を目安に。
余白なし印刷(フチなし)の限界
Excelの余白をゼロにしても、プリンタに無印刷領域があると完全なフチなしにはなりません。
-
フチなし対応かを確認
プリンタのプロパティで「フチなし」設定が選べるかチェック。機種によってはA4のみ対応など制約があります。 -
トリミングの想定
フチなし印刷は用紙外までわずかに拡大して刷るため、端が数mm切れることがあります。重要情報は内側に配置しましょう。 -
安全策:98〜99%に縮小
逆にフチありで確実に収めたいときは、印刷倍率を少しだけ小さくして、端欠けを避ける方法が有効です。
A判サイズ換算と倍率の目安
A判は1段上がるごとに√2(約141%)、1段下がるごとに**約71%**です。覚えておくと調整がスムーズです。
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A4 → A3:141%
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A4 → A2:200%(A3をもう1段拡大)
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A4 → A1:283%(=200%×141%)
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A4 → A0:400%(A4の4倍)
目安として、「1段上=+41%」「2段上=200%」を覚えると実務が速いです。Excelの[拡大縮小印刷]でパーセンテージ指定を使います。
画像が粗い/にじむ(解像度・形式のコツ)
拡大して貼ると画像の粗さが目立ちます。次の点に注意しましょう。
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ベクター優先
可能な限りExcelの図形・文字・表で作ると、拡大してもクッキリ出ます。 -
画像を使うなら解像度十分に
最終サイズで200〜300dpi目安。小さい画像を大きく引き伸ばすのはNGです。 -
形式の選び分け
線や文字中心ならPNG、写真中心ならJPEGが目安。 -
PDFエクスポートの品質
[名前を付けて保存→PDF]時は**「最小サイズ」ではなく「標準(オンライン発行と印刷)」**を選ぶと画質が保てます。 -
ドライバの画質設定
プリンタ側の画質を標準〜高画質に。エコモードは避けます。
貼り合わせをラクにする実務テク
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のりしろ(重なり)5〜10mmをつける
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**トリムマーク(切り取り線)**を出す(PDFの[ポスター]設定で可)
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マットで見切れチェック:印刷前に紙を仮レイアウトしてサイズ感を確認すると失敗が減ります。
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貼る順番を決めておく:左上→右→下の順など、一方向にそろえるとズレにくいです。
配布前チェックリスト&保存形式
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ページ数・分割数は想定通り(2×2、3×3 など)
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倍率(例:200%)とのりしろが設定済み
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色設定(白黒印刷/省インクがオフ、必要なら高画質)
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フォント置換なし/レイアウト崩れなし(PDFで確認)
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端に重要情報がない(トリミングを考慮)
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PDF(配布用)とExcel(編集元)を別名保存
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ファイル名は日付+版番号で管理(例:Poster_A2_2025-08_v1.pdf)
まとめ
Excelのデータも、ちょっとした工夫でポスターサイズに大きく印刷できます。
拡大率や分割の設定に気をつければ、自宅や職場のプリンターでもきれいに仕上がるので、ぜひ気軽に挑戦してみてくださいね。
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