初心者でもすぐできる!Excelで増減を求める関数と色分け・グラフのコツ

初心者でもすぐできる!Excelで増減を求める関数と色分け・グラフのコツ

「前月と比べて売上はどれくらい増えた?」「今期の生産数は去年より減っていないか?」
Excelを使っていると、このような“増減”の比較をしたい場面がよくありますよね。

単に引き算をすれば差は出せますが、
「何%増えたのか」「増えた場合は青、減った場合は赤にしたい」など、
見やすく・わかりやすくするには関数や書式の工夫が必要です。

本記事では、Excelで「増減」をわかりやすく計算・表示するための関数や設定方法を、初心者の方にもやさしく解説します。
営業や製造など、業績管理・日報作成などに活用できる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。

基本の増減を求める(引き算)

増減を確認する一番シンプルな方法は、「現在の値」から「以前の値」を引くことです。
たとえば、B列に今月の売上、A列に先月の売上がある場合、C列に以下のような式を入れれば増減を求めることができます。

=C2 - B2
引き算による増減計算

増加・減少の見分け方

この式で求めた結果が

  • プラスなら「増加」

  • マイナスなら「減少」
    となります。

差が分かるだけでも業務に便利!

このようなシンプルな増減計算は、以下のような業務でよく使われます:

  • 月別の売上比較(営業部門)

  • 日別の生産数量の推移(製造部門)

  • 前年比による経費の見直し(管理部門)

ゼロや空白に注意しよう

ただし、前月(A列)が空白の場合は正しい差が出ないことがあります。
そういった場合には、IF関数で条件分岐して空白のときに「–」や「空欄」を表示するようにすると、表が見やすくなります。

=IF(B2="", "", C2 - B2)
空白データがある場合

増減率(%)を計算する方法

「どれくらい増えたのか」を正確に把握したい場合は、**増減率(%)**を求めるのがおすすめです。
単なる差額よりも、変化の大きさが相対的にわかるため、営業報告やプレゼン資料でもよく使われます。


増減率の基本式

以下の式で、増減率(前月比など)を求めることができます:

=(C2 - B2) / B2

または、より簡潔に:

=C2 / B2 - 1

いずれも「先月から何%変わったか」を求める式です。

増減率の計算
セルの書式を「パーセンテージ」に設定すれば、見やすく表示できます。

増減率のパーセンテージ


ゼロ除算エラーに注意!

前月(A列)の値が0だった場合、上記の式では#DIV/0!というエラーになります。
これを避けるためには、IF関数やIFERROR関数を使って処理しましょう。

=IF(C2=0, "", (C2 - B2) / B2)

または、

=IFERROR((B2 - A2) / A2, "")
増減率エラー回避

±の符号を見せたい場合は?

増加か減少かを明示するために、「+10%」「-5%」のように符号付きで表示したい場合は、TEXT関数を使って以下のように記述します:

=TEXT((B2 - A2)/A2, "+0.0%;-0.0%;""±0%""")

これにより、増加は「+」、減少は「-」、増減なしは「±0%」のように表示されます。

±記号は、日本語入力で「ぷらすまいなす」と入力して変換できます。また、デスクトップPCなどテンキー付きキーボードをお使いの場合は、Altキーを押しながらテンキーで「0177」と入力することで直接入力することも可能です。

増減率のプラスマイナス表示

条件付き書式で色分けする方法

増減の数値が表示されていても、パッと見で「増えたのか減ったのか」がわかりづらいことがあります。
そんなときに便利なのが、条件付き書式による色分けです。

数値が増加なら青、減少なら赤、変化なしは灰色などにすることで、視認性が大きく向上します。


設定手順(基本)

たとえば、D列に増減の計算結果がある場合:

  1. D列の範囲を選択(例:D2:D16)

  2. 「ホーム」タブ → 「条件付き書式」 → 「新しいルール」
    条件付き書式メニュー

  3. 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」
    数式を使用して書式を設定

  4. 以下の数式を入力:

  • 増加時の書式(青)

    =D2>0
  • 減少時の書式(赤)

    =D2<0
  • 変化なし(灰色など)

    =D2=0

それぞれに好みのフォント色や背景色を設定

条件付き書式


もっと簡単に:アイコンセットの活用

「赤矢印↓」「緑矢印↑」などのアイコンセットを使うと、増減がより直感的に伝わります。

手順:

  1. 増減率などが入ったセル範囲を選択

  2. 「ホーム」タブ → 「条件付き書式」 → 「アイコンセット」

  3. 「方向」カテゴリから矢印アイコンなどを選ぶ
    増減矢印アイコンセット

※場合によっては、「ルールの編集」で「数値の比較基準」をカスタマイズすることで、±0を境に表示を切り替えられます。

↓[アイコンセット]→[その他のルール]メニューを選択して詳細を設定することができます。

その他アイコンセットのルールメニュー

↓設定例:

 増減の値0を境にアイコン表示を切り替えるように設定

アイコンセットのルール、設定例

↓アイコンの設定を変更後の様子です。

 0を境に矢印の方向が変わっていることが確認できます。

アイコンセットのルール設定後の様子


色分けやアイコンで業務がスピードアップ

工場や営業、管理部門などでは、次のような作業が楽になります:

  • 日報や週報の変化をすばやく把握

  • プレゼン資料で一目で変化が伝わる

  • 異常値や改善点の早期発見

自動で前の列・前の行と比較する方法

月ごとの売上や日ごとの作業実績など、横方向や縦方向にデータが並ぶ表では、手動で差を計算するのが大変ですよね。
そんなときは、「前の列」や「前の行」と自動で比較できる関数を使うと、作業が効率化します。


前の行との差を求める(縦方向)

たとえば、B列に日別の生産数が入っている場合、C列に前日との増減を表示したいときは以下のように記述します:

=B3 - B2

これをC3以降にコピーすれば、常に「1つ上の行」との差を表示できます。

行(上下)での比較例


前の列との差を求める(横方向)

月別の売上が横に並んでいる場合、たとえばC列(2月)とB列(1月)との差をD列に表示したいときは:

=C2 - B2

これを右方向にコピーすれば、常に「1つ左の列」との差が取れます。列(横方向)の増減計算例

より柔軟に扱いたいときは:INDEX関数の活用

INDEX関数を使えば、「前の列」や「前の行」を動的に指定できます。

たとえば、次のように書くと、B列~E列の中で、常に「1列前」の値との差を求めることができます:

=B2 - INDEX(B2:E2, COLUMN(B2)-COLUMN($B2))

この式では、COLUMN(B2)-COLUMN($B2) によって「何列目か」を計算し、INDEX関数で前の列を取得しています。

INDEX関数を利用した増減計算例


OFFSET関数でも似たことが可能

OFFSET関数を使えば「相対位置」での参照もできます:

=B2 - OFFSET(B2, 0, -1)

この式は、「B2セルの左隣(0行下、1列左)」のセルとの差を求めています。

増減計算OFFSET関数利用例

補足:なぜINDEXやOFFSETを使うの?

「=C2 – B2」のような直接参照の式でも問題ありませんが、列や行をあとから追加・削除する可能性がある表では、式の修正が必要になることがあります。

その点、INDEXOFFSETを使えば、「今いるセルの左隣」「1つ前の列」といった相対的な位置を基準にできるため、構造変更にも柔軟に対応できます。

また、横方向や縦方向にコピーする際にも、式を手直しせずに使えるのがメリットです。


これらの方法を使えば、複数列にまたがる表でも、いちいち手動で計算式を変える必要がなくなります。

グラフやスパークラインで増減を可視化する

数値で増減を確認するのも大切ですが、視覚的に変化を捉えたい場合は、グラフやスパークラインの活用が効果的です。
特にプレゼン資料や定例報告書などでは、視覚的な工夫が理解度を高めてくれます。


折れ線グラフで全体の流れを把握

もっともベーシックなのが折れ線グラフです。

作成手順:

  1. 日付や月別のデータ(A列:日付、B列:売上など)を選択

  2. 「挿入」タブ → 「グラフ」 → 「折れ線グラフ」
    折れ線グラフの挿入

  3. 表示されたグラフのタイトルや凡例を調整
    折れ線グラフ凡例の調整

➡ 増加・減少の傾向が一目でわかります。


スパークラインで行ごとの変化を表示

「スパークライン」は、セルの中に小さなグラフを表示する機能です。
横並びの月次データなどで、1行ごとの傾向を確認するのに便利です。

作成手順:

  1. 増減を表示したい行のデータ(例:B2:G2)を選択

  2. 「挿入」タブ → 「スパークライン」 → 「折れ線」や「縦棒」などを選択
    スパークラインメニュー

  3. 表示先のセル(例:H2)を指定してOK
    スパークラインの範囲設定画面

➡ 各行にミニグラフがつくので、変化がパッとわかります。

スパークラインの設定後


補足:見た目の工夫で見やすくする方法も

増減の変化を視覚的に伝える方法として、色分けに加えて「アイコンセット」や「スパークライン」を使うこともできます。
ただし、条件によっては設定が難しかったり、逆に見づらくなることもあるため、目的や見せ方に応じて使い分けるのがポイントです。

まとめ:増減をわかりやすく見せる工夫が、業務の質を上げる

増減の差を出すだけなら「引き算」で済みますが、実際の業務では「どれくらい増えたか?」「すぐに判断できるか?」が重要です。

本記事では、Excelで増減を扱うためのさまざまな方法をご紹介しました:

  • 単純な差額の計算

  • 増減率(%)の算出とエラー対策

  • ±記号の表示や条件付き書式による色分け

  • 前月・前日との自動比較

  • グラフやスパークラインによる可視化

これらのテクニックを組み合わせることで、見やすく・伝わりやすい資料を作成することができます。
日報、週報、月次報告、会議資料など、さまざまな場面でぜひ活用してみてください。

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