はじめに
エクセルで表や資料を作成していると、「文字を縦書きにしたい」「テキストを90度回転させて見やすくしたい」と感じることがありますよね。
しかし、いざやってみると「伸ばし棒の向きが変」「数字だけ横向きになる」「思った通りの方向にならない」など、細かな表示の悩みに直面することも少なくありません。
この記事では、縦書きや90度回転の基本操作から、表示崩れを防ぐための工夫までをまとめて解説します。
実際によく見かける以下のようなお悩みも取り上げているので、ぜひ参考にしてみてください。
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縦書きにしたら、伸ばし棒「ー」の向きがおかしい
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縦書きの文字を、右からではなく左から並べたい
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縦書きにしたとき、数字だけが横向きになってしまう
- 縦書き時の文字と文字の間隔を調整したい
これらの疑問にまとめてお答えします!
Excelで文字を縦書き・90度回転する基本操作
まずは、基本的な文字の向き変更方法をご紹介します。Excelでは、文字を縦書きにしたり、90度回転させたりすることで、見た目をスッキリ整えることができます。
【方法1】右クリックから設定する
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対象のセルを右クリック
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「セルの書式設定」をクリック
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「配置」タブを開く
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「文字の方向」で「縦書き」ボタン(縦に並ぶアイコン)を選択
または、方向の角度を「90度」に設定することも可能です↓縦書きを選択する場合
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「OK」を押すと反映されます。
縦書き表示に変更されました。
※90度回転を選択した場合
90度回転させた場合は、下の図のように縦書きした文字が横に寝転んだ形で表示されます。
ポイント
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「縦書き」ボタンを選ぶと、1文字ずつ縦に並ぶ縦書きになります
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「角度90度」にすると、横書き文字が左に90度回転した配置になります(表の項目ラベルなどに便利)
【方法2】ホームメニューから素早く設定する
Excelのリボンからも、ワンクリックで回転できます。
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対象のセルを選択
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上部メニューの「ホーム」タブを開く
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「配置」グループ内の「方向(Aの横に曲がった矢印のアイコン)」をクリック
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表示される選択肢から「縦書き」「左へ90度回転」などを選びます
▶ 「縦書き」:1文字ずつ縦に並ぶ▶ 「90度回転」:文字を回転して見た目を縦にする
「方向」アイコンはやや見つけにくいですが、「中央揃え」などの近くにあります。マウスを重ねるとツールチップが出ますので確認してみてください。
このように、右クリックからも、ホームメニューからも縦書きや90度回転の設定が可能です。
目的に応じて使い分けると、作業効率もぐっとアップします!
よくある表示の悩みと解決法
縦書きにしたら「伸ばし棒(ー)」の向きがおかしい
縦書きにしても、「ー(長音記号)」が横向きのまま表示されることがあります。これは、フォントによって「ー」が常に横向きになる仕様のためです。
実は、「ホームラン」など日本語入力で使われる伸ばし棒(全角の長音記号)は、多くのフォントで縦書きにも対応しており、自然に縦向きになります。
しかし注意が必要なのは、半角のハイフン「-」やマイナス記号「−」を使っている場合です。
これらは縦書きにしても回転せず、横向きのまま表示されてしまうため、表示が不自然になることがあります。
❖ 例:縦書きでハイフンを使うケース
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製品コード:ABC-1234
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日付表記:2024-04-03
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補足記号や記述:「- 補足説明」など
こうした記号が縦方向に並ぶ表などで使われると、見た目に違和感が出てしまいます。
解決法:
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全角の縦棒(|)やダッシュ記号(―、−)に置き換える
※全角の縦棒(|)はshiftボタンと\マークのボタンを同時に押すことで入力できます。
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フォントを明朝体系(MS P明朝、游明朝)などに変更して、自然な見た目を確認する
表示結果を確認しながら、適切な記号に差し替えるのがおすすめです。
縦書きにしたのに、数字だけ横向きになる
縦書きにしたのに、数字が横向きのままになってしまうことがあります。
これは、設定方法やフォントによって表示の仕方が異なるためです。
正常に縦表示されるケース(おすすめの設定)
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セルの書式設定で「文字の方向:縦書き」を選んだ場合
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使用しているフォントが縦書きに対応している(例:MS 明朝、MS ゴシックなど)
この場合、半角の英数字でも自動的に縦に表示されるため、たとえば「a-567」と入力して縦書きにしても、下記のように縦方向に表示されます。
数字が横向きになってしまう原因
以下のような場合には、数字が横向きになってしまうことがあります:
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セルの文字方向を「縦書き」ではなく「角度90度」で回転させた場合
→ 見た目は縦でも、内部的には横書きのまま90度回転しているだけの状態です -
フォントが縦書きに非対応のもの(例:Arial、Calibriなど欧文系)
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特定の環境で半角英数字が回転されない仕様になっている場合
※補足※
最近のExcelでは、Arial や Calibri などの欧文フォントでも、縦書き設定時に数字や英字が正しく縦向きに表示されることが多くなっています。
ただし、Excelのバージョンや使用している環境によっては、半角英数字が縦に回転されず横向きのままになるケースもあります。
特に、「文字の方向」を「縦書き」ではなく「角度90度」にしている場合は、見た目は縦でも文字は横書きのままなので、数字や記号が横向きに見える原因になります。
解決方法
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セルの書式設定で「文字の方向:縦書き」を選ぶ(←最も確実)
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半角数字でうまく表示されない場合は、全角数字(123など)に変更
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フォントを明朝体系(MS 明朝、游明朝など)に変更してみる
補足:実際に数字が縦表示されることもある
設定が正しければ、縦書きでも半角数字やアルファベットが問題なく縦に表示されることもあります。たとえば、Excelの標準フォント(MS Pゴシックなど)で、文字の方向を「縦書き」に設定していれば、「2024」や「ABC-1234」なども自然な見た目になります。
このように、「縦書き」と「90度回転」は似て非なるものです。
表示の違いを理解しておくと、縦書きレイアウトも思い通りに整えられるようになりますよ!
一部だけ縦書き・横書きを混在させたい(例:21伊藤、(株)●●商事)
Excelでは、「セル内の一部分だけを縦書きにする/横書きにする」といった混在表示は、標準機能では対応できません。
つまり、1セルの中で「21(横書き)・伊藤(縦書き)」のように表示を切り替えることはできない仕様になっています。
ですが、次のような方法を使えば、見た目の調整で目的に近づけることが可能です。
方法1:横書きのまま改行を使う(簡単でおすすめ)
セルの編集中に Alt + Enter
を押して改行を入れる
例:「21(改行)伊(改行)藤」
上段の数字は横書き、下段の名前は縦方向に近い見た目になります
名札・POP・名簿などの実用例でよく使われるテクニックです。
方法2:セルを分けてそれぞれに縦・横設定
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1列目に「21」(横書き)、2列目に「伊藤」(縦書き)と入力
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表形式やラベルなどで使いやすい
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縦方向を活かしつつ、配置の自由度も高い
方法3:図形やテキストボックスを使う
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WordArtや図形を挿入し、文字を入力して「テキストの方向」や「回転」を調整
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もっと自由にレイアウトしたいPOPや名刺、案内札などで活躍します
補足:
「(株)●●商事」のような社名でも、(株)は横のまま、社名は縦にしたいというニーズがあります。この場合も、(株)と社名を別セルまたは別オブジェクトに分けて調整すると、自然で読みやすい表現になります。
文字を縦書きにしたいけど、左から右に並べたい
通常、Excelで縦書きに設定すると、文字は右から左に並ぶのが標準です。
しかし、「縦書きの文字を、左から右に並べたい」というニーズも実務では意外とあります。
こんな場面で使われることがあります
① ネームプレートや名札などを横に並べて表示したいとき
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複数人の名前を縦書きで表示しつつ、横に並べたい
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例:工場・学校・イベントなどで使う簡易名札
② POP・チラシの装飾文字に使いたいとき
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商品札やイベント告知で「本日限り」「大特価」などを目立たせて縦書きで強調
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複数の文字列を縦に並べた状態で横に展開してデザイン的に見せたい
③ 和風レイアウトをExcelで再現したいとき
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和菓子メニューや旅館の案内などで、「縦書きで左から右に流れる日本的なレイアウト」を表現したい
解決方法
Excelでは、1つのセル内で縦書き文字を並び順だけ変えることはできないため、次の方法で対応します。
対応方法:
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1文字ずつ別セルに入力し、縦書きにして横方向に並べる → 例:A1~C1にそれぞれ1文字ずつ入力し、縦書き設定
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セルの幅・高さを調整して、見た目を整える → 高さを長く、幅を狭くすることで見た目が整いやすくなります
このように、縦書きのテキストを左から右に並べたいときは、1文字ずつセルを分けて並べるという方法で対応可能です。
デザイン的な工夫や和風テイストの演出など、Excelでもちょっとした見せ方の工夫が楽しめます!
補足:セル内で改行を使って、左から右に縦書きを再現する方法
Excelでは、1つのセルの中で縦書き文字の並び順(右から左 → 左から右)を自動で変更する機能はありません。
しかし、セル内で改行を使って1文字ずつ表示順を手動で調整することで、左から右に流れる縦書き風の見た目を作ることが可能です。
【操作手順】
たとえば、「本日限り」という言葉を左から右に縦書きで表示したい場合:
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セルを選んで
F2
(またはダブルクリック)で編集モードに -
入力したい文字を上から下に表示したい順番で、1文字ずつ入力しながら
Alt + Enter
で改行
例)本日限り を 左に「本日」右に「限り」で入力したい場合
限り(改行)本日 で入力します。 -
入力が終わったら「セルの書式設定」→「配置」→「文字の方向:縦書き」を設定
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必要に応じてセルの高さや幅を調整します
この方法を使えば、1セルで縦書き表示を維持しつつ、見た目として“左から右に並ぶ”ようなレイアウトが可能になります。
装飾性を重視したPOPやチラシ、ネームプレートなどで活用しやすいテクニックです!
縦書きで文字の間隔を調整したい
縦書きでは、行の高さによって文字の間隔が決まるため、「文字が詰まりすぎて読みにくい」と感じることも。
解決法:
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「行の高さ」を調整して間隔を調節
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より自由に調整したい場合は、図形やテキストボックスで入力→間隔調整
見た目にこだわる場合は、図形を使った方が微調整しやすくなります。
応用編:図形・表・グラフを90度回転させたいとき
図形や画像を回転させる
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オブジェクトをクリック
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回転ハンドルを使って自由に回転
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または「図形の書式」タブ→「回転」→「90度回転」を選択
表(行列)を90度回転=転置する
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表をコピー
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貼り付けたい場所を右クリック
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「形式を選択して貼り付け」→「転置」
グラフの方向を変える
縦棒グラフを横棒グラフに切り替えることで、見た目の印象が大きく変わります。
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グラフを選択 →右クリックでメニューを表示させ、「グラフの種類の変更」→「横棒グラフ」などに変更します。
グラフを選択した状態で「グラフのデザイン」メニューからもグラフの種類を変更することができます。
【5. Excelは縦書き文書に向いてる?〜限界と工夫〜】
Excelは表計算ソフトとして設計されており、Wordのように「文書全体を縦書き仕様に切り替える」機能は搭載されていません。 そのため、入力方向や行の流れは「左→右」「上→下」が基本で、日本語の縦書き文書のように右→左、上→下の流れでページ全体を組むことはできません。
ただし、セル単位での縦書き表示は可能なので、レイアウトや表示方法を工夫することで、縦書き風の資料やデザイン表現は再現可能です。
▶ こんな工夫が使えます:
◆ セルごとに1文字ずつ縦書きで入力し、列を横に並べる → 縦に文字を表示しながら、左から右に配置できます
◆ 印刷の向きを「横」に設定して、縦長レイアウトを作る → POPや案内資料で、用紙全体を縦書き風に見せたい場合に便利
◆ 図形・テキストボックス・WordArtを使う → 文字の方向やレイアウトをより自由に制御できるので、ネームプレートや和風の案内文などにも最適
◆ PowerPointやWordと連携して作成 → 複雑な縦書きが必要な場合は、Wordでレイアウトしたものを画像として取り込むのも1つの手
▶ ポイントまとめ: Excelは「データの整理と視覚的表示」に強みがありますが、「縦書き文書のレイアウト」に関しては不向きな部分も多いため、目的に応じてExcelの範囲内で工夫する or 他ソフトと併用することが重要です。
おまけ:180度回転で上下逆に表示したいとき
ネームプレートや卓上表示物で「上下逆さまに印字したい」というケースもあります。
解決法:
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WordArtやテキストボックスで文字を入力 → 図形として180度回転
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または文字を画像として保存し、画像を回転させて挿入
Excel単体では難しいため、画像化や他ソフトとの併用がポイントです。
まとめ
「エクセルで文字を縦書きにする」「90度回転させたい」といった見た目の工夫は、ちょっとした操作で印象を大きく変えられる便利なテクニックです。
ただし、縦書きには「伸ばし棒」「数字の向き」「文字の並び順」など、細かな課題もあるため、目的に応じて代替案や工夫を取り入れることが大切です。
この記事を参考に、あなたのExcel資料がより見やすく、魅力的なものになれば嬉しいです!